共振による音質の変化
人によってイヤホンの音質は違うというのは間違いない事実です。
それは感性の違いという以前の、物理的な差から生じるものがそもそも存在します。
まずイヤホンは閉管共振がほぼ発生します。
特に意図して設計しない限り両端閉塞の円柱管になるためで、数的には音速を耳道の長さを2倍したもので割った周波数に共振が観測出来ると思います。
具体的には21mmの耳道を想定した場合に8kHzに共振が発生します。
19mmで9kHz、17mmで10kHzに共振が発生しミリ単位の位置移動で音質が変化する計算になります。
つまり耳道のちょっとした長さの差によって音質が変化するのは事実です。
次に実際にTi3を用いて変化をみてみましょう。
碧Ti3による実測
耳道が長い方がTi3を使うと8kHzに10dB以上の鋭いピークを持つ音質だと感じられると思います。
逆に短い方が使えば10kHzに5dB程度の弱めのピークをもつフラットな音質に感じられるはず。
よく見ると低音の音圧も違いますし、この2者がTi3の音質を語ると全く別のものになると思います。
17mmだと7kHzも相当に変化するので、やはり19mm程度で9kHzにピークを発生させるのが1番オーソドックスな音質になるでしょうか。
イヤーピースである程度調整が可能ではありますが、耳道の長い方にとってはTi3はどうしてもキンキンした音質のイヤホンと認識されるでしょう。
イヤーピースが音質に決定的に変化をもたらす理由もこの辺りかもしれませんね。
まとめ
イヤホンの音質の良し悪しを決める要因として耳道の長さの相性があるのは間違いありません。
イヤーピースで多少調節できますが、たとえばSHUREタイプのステムの位置がほぼ固定されるタイプだとまず調整することは不可能でしょう。
最近のfinalのカクカクイヤホンなどまさにこれで合う人には合うという構成になっていると思います。
基本的に鼓膜までの距離を短くすると共振を高音に送ることができるようです。
もし刺さりが気になった場合は短めのイヤーピースを使って振動板を物理的に近づけるのが有効かもしれません。
本当に人によって違う音を聞いている可能性が高いのがイヤホンなので、軽々に他人の評価を貶めたりしないようにするのが肝心かもしれませんね。
0 件のコメント:
コメントを投稿