EAH-AZ60の音質
バイオセルロースと聞いてときめかない古参のポータブルファンはいないでしょう(二重否定)。
古くはMDR-R10やCD3000やE888、最近でもD7000やAurvana Liveなど個人的には銘機と思っている機種に使われていることが多い素材です。
そして、その振動板が使われているのがこのEAH-AZ60です。
バイオセルロース振動板はソニーと味の素が共同開発で作り出したバクテリア由来の素材を使用した振動板です。
内部損失がよく、軽いため高音が鮮やかに再生できるという触れ込みでした。
実際CD3000は今聞いても現代のヘッドホンとは少し違う音質だと感じます。
振動板だけで音が決まるわけではありませんが、やはり金属の振動板を使うと金属的な響きが乗ると思います。
金属の振動板は難聴対策的にはどうなのかなーと思っているので個人的には非推奨気味。
まあバイオセルロースが難聴に良いかは不明ですが、それはともかく珍しい8mmのバイオセルロースを使用したAZ60の音質をみてみましょう。
音質
まず前提として、ここでのデータ測定は
・イコライザ(サウンドモード)OFF
・iMacとのAAC接続
・付属のノーマルイヤーピースSサイズ
で行っています。
まず自分の耳でのAZ60の音質の感想ですが、ノイズキャンセリングONはドンシャリ傾向で低音が少し強め、OFFでは高音明るめのフラットという印象。
静かなところではOFFの音質が個人的にはオススメです。
あまり参考にならない個人的な聴覚上の音圧
ノイズキャンセルON(アンビエントモードも同じ)
重低音 ☆☆☆
低音 ☆☆☆☆
中音 ☆☆☆
中高音 ☆☆☆★
高音 ☆☆☆
ノイズキャンセルOFF
重低音 ☆☆☆★
低音 ☆☆☆
中音 ☆☆☆
中高音 ☆☆☆★
高音 ☆☆☆
周波数特性グラフ
耳道の長さが26mm・28mm・30mm時のグラフを測定。
共振ピークが10kHz・9kHz・8kHzに設定されます。
耳道の長さは一応日本人の平均が30mm、西洋人が25mmと言われています。
26mm(音響管17mm想定)
28mm(音響管19mm想定)
30mm(音響管21mm想定)
3つを比較
個人的な感想で言えば非常に美しいグラフ。
特に30mm想定時の強すぎないピークを持ち、全域においてフラットな音質は良質に見えます。
いずれの場合においてもプラスマイナス10dB以内にピーク・ディップが収まっており非常に落ち着いた音質に感じます。
ノイズキャンセリングとOFFの音質の違い
WF-1000XM4と同じくAZ60もノイズキャンセルONとOFFで音質が違います。
雑踏や店舗など本当にうるさい場所での使用ならばONのドンシャリ風の音質が生きてくるので、この設定は非常に正しいと思います。
オーディオ的にはOFFのフラットな音質がやはりオススメ。
静かな場所ではOFFを使用すると高音質が楽しめるのではないかと。
まとめ
非常に安定した波形を見せるのはやはりバイオセルロース振動板のおかげでしょうか。
個人的には文句のつけようのない高音質で、中高音の明瞭さはAAPPや1000XM4よりも上だと思います。
特にどの耳道の長さでもあまり差のない音質の作り方は流石と言わざる得ません。
ただ明瞭さを悪くいうならキツく刺さりやすい音だということでもあります。
そこはAAPPや1000XM4と明確に差別化されているので好みでどちらを選ぶかということになるでしょう。
このグラフはAACなのでLDACで再生すればもっとなめらかな音質の可能性があります。
実際NW-A55とのLDAC接続の音質はもうワイヤレスと思えない程だと大げさに表現しておきます。
AZ60はこのあとに例えばAZ700Wなどという上位機種が出てきたとしても色褪せない十分に良い音質の機種なのではないかと思います。
是非一度ご試聴いただきたいです。
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